日々決断や責任に追われるエグゼクティブは、高く期待される反面、日常のストレスも半端ではありません。
そのようなストレス軽減のために用いられ始めたのが「アファメーション」です。「アファメーション」「Positeive Affirmation」や「Self-Affirmation」とも呼ばれる、肯定的な言葉を用いた、メンタルヘルスや自信向上につながる自己暗示のテクニックのことを言います。
日本では米国の有名ビジネスコーチ ルー・タイス氏の著書を脳機能科学者 苫米地英人氏が翻訳した「アファメーション」が発行されてから、よく知られるところとなりました。その後「効果がない」という意見もあらわれ、ブームはやや下火となりましたが、それでも生活に取り入れる人は徐々に数が増え、近年では特にエグゼクティブの間で見直され、利用されるようになっている傾向が見られます。
あなたもぜひ、このテクニックを上手に使いこなし、メンタルヘルスや自信向上、ひいては生活全体の向上に役立ててください。
どうやるのか?何に良いのか?
それでは、「アファメーション」は実際にはどのように行い、それが何に良いのでしょうか。
単純に言えば、アファメーションは、自分にとって肯定的な文を声に出して自分に言い聞かせることです。例えば、「私は有能で、成功する価値がある」というような文を自分自身に向けて言い聞かせます。ただし、1回きりではありません。毎日数分自分に言い聞かせる時間をルーティンとして設けます。
アファメーションは、肯定的な言葉を繰り返し自分に聞かせることにより、潜在意識に肯定的なイメージを埋め込み、ポジティブなマインドセットを可能にします。それによって下記のような効果が心理学的に認められています。
⚫︎自信や自己肯定感の強化:
⚫︎ストレスや不安の軽減
⚫︎目標達成などへの集中力向上
⚫︎創造的思考の活性化
⚫︎リーダーシップの向上
いずれも、自信を高め、焦点を磨き、ポジティブなマインドセットを養うことで、前向きな考え方や行動、集中力を高めることをサポートします。
潜在意識が聞いている
アファメーションがそのような作用を及ぼすことの理由には「潜在意識の存在」があります。潜在意識は、私たちの意識の90%以上を占めながら、一般に私たち自身は知覚しにくい神秘的な意識として知られています。、我々が意識的に思考や感じていない時でも、潜在意識は働き続け、自信や恐れに作用し。私たちの日々の思考や行動に影響を与える内なる力です。
いっぽうで、暗示による影響を受けやすく、アファメーションで肯定的なメッセージを繰り返すことが潜在意識に影響し書き換える作用も見込めるということが、色々な心理学者から提唱されてきました。前出のルー・タイズ氏もその1人ですが、ジョセフ・マーフィーやウィリアム・ジェームズなどの有名心理学者も潜在意識の影響や利用方法などを説いています。
アファメーションによる肯定的な状態の言い聞かせは、潜在意識にその状態を強くイメージとして植え付け、顕在意識の思考や行動を良い方に変える作用があるとされるのです。その作用の種類は以下のようなものがあります。
⚫︎聴覚フィードバック:
自分の声で自分に話しかけることは、新たに言葉を聴覚で入力し直すことを意味します。その聴覚的なフィードバックは潜在意識により強くメッセージを刷り込む助けとなります。
⚫︎意識的な確認:
声に出して言葉として聞くことは、意識的にその言葉とメッセージに注意を向けることにもなります。言葉を意識し、その意味を考えるという脳の働きを促す作用となるのです。
⚫︎感情的エンゲージメント:
ポジティブな言葉を聞き、その言葉の状態をイメージすることで、ポジティブな状態を疑似体験する作用が自然に得られます。その体験を潜在意識で知覚するときは疑似か実際の体験か脳の中では区別ができなくなると言われています。つまり、ニセのポジティブ体験であっても、アファメーションを行ううちに実際のエンゲージメントと変わらない効果を感情にもたらしてくれるというわけです。
⚫︎記憶の強化:
以上の作用は、声に出して言葉を繰り返すことで、記憶として強化されます。それは、より強く確かに自分の中に定着しやすくなっていくことを意味し、それによって自身の自動的な意識は自然にポジティブな方向へ向きやすくなります。
声に出したアファメーションは、決して「気のせい」では終わらない、私たちの意識への確かな作用があるのです。特に近年、学習効果や生産性の向上、マーケティングなどの色々なビジネス視点から、人間の潜在意識についての研究は非常に盛んになり、積極的に潜在意識についての知識を得て活用しようとするエグゼクティブは年々増えています。あなたもぜひより一層の関心を持ってください。
成功するアファメーション・失敗するアファメーション
さて、潜在意識の研究の進展から、アファメーションの効用は最近ではすっかり「常識」となっていますが、その一方で疑問視する人の存在もまだあります。上のほうで少し言いましたが、アファメーションが「効かない」「意味がない」とする人です。
確かに、「ポジティブな言葉を言い続ける」という単純な方法だけに、今ひとつ信じきれない気持ちが湧くのは当然かもしれません。そして、何事も「やり方」があり、単純な方法でもどこかを間違うと、効果がなくなるものは多い、ということも忘れてはいけません。アファメーションも単純ながら「成功するやり方・失敗するやり方」があるということです。
成功するアファメーションにはルールがあります。そのルールは以下のことです。
⚫︎言葉の具体性がなければならない:
アファメーションは具体的で明確でなければなりません。望んでいる結果や目標を明確に表現し、抽象的な表現は避けるよう努めてください。
× 「私はいい人だ」
⚪︎「私は有能で信頼されていい人間だ」
⚫︎肯定的な文体でなければならない
アファメーションは肯定文である必要があります。否定文は使わず、肯定的かつ強力な言葉を選んでください。
×「私は失敗しない」
⚪︎「私は絶対に成功する」
⚫︎現在形または現在完了形を使用しなければならない:
アファメーションは現在形で表現することが重要です。これは、目標がすでに達成されているかのように感じ、心に強く訴える助けとなります。
×「成功しますように」
⚪︎「私は絶対に成功する」「私はもう成功している」
⚫︎感情と感覚に浸らなければならない
アファメーションを唱える際には、その言葉を味わい、その言葉から連想できる感情や状況に浸るようにしましょう。唱えている言葉がすでに現実で起こっているような気分に十分に浸ることで潜在意識がそう信じやすくなるのです。
⚫︎ルーティン化しなければならない
アファメーションは繰り返し行わなければ効果がありません。たまに思い出して気まぐれに言葉を唱えても効果が出にくいのです。やろうと決めたら少なくとも3ヶ月くらいは「習慣」として毎朝や寝る前に言葉を唱えましょう・
⚫︎やるからには信念を持たなければならない
: アファメーションを効果的に行うには、その言葉を信じることが重要です。半信半疑のままでは、アファメーションの力は十分に発揮されません。「こんなことやっても、どうせ・・・」と考えながら行っても何も変わりません。
⚫︎リラックスした状態を持たなければならない
アファメーションはリラックスした心地よい状態を作り出して行ってください。どうしてもイライラしたり不安な気持ちが残っているなら、先に頭からイライラや不安を追い出すことから始めましょう。
一流エグゼクティブのルーティン「アファメーション」
いかがでしょうか。
一流エグゼクティブはただがむしゃらに働くのではなく、健全な体や精神の大切さを知り、効果的な脳の使い方を学び、健康的に生産性を上げています。その中で「アファメーション」も高いストレスを中和し、自信や自己肯定感を上げることでポジティブな考え方や行動を促す手法としてとてもポピュラーになっています。
自分を取り戻し、自信を強めてくれる幸せな呪文を自分で作ってみてください。その言葉をしっかりと自分に言い聞かせながら、幸せでポジティブな感情や感覚に浸る時間を作ってみてください。最初は「こんなことで効果があるのだろうか?」と半信半疑だったとしても、きちんと習慣として取り入れ信念を持って取り組むことで、必ず良い影響が現れます。
ちなみに「ありがとう」「私の幸運に感謝します」などの簡単な言葉でもいいそうです。言いやすく、自分の感情にピンとくる言葉を上手にお使いください。